コラム

【現役日本語教師の実態レポート】学生の成長を肌で感じられるのも、日本語教師のやりがいの一つだと思います

現役日本語教師にインタビュー!

①日本語教師を目指したきっかけはなんですか?日本語教師になるまでには、どのような経緯がありましたか?

大学時代に留学を経験し、英語や他国の文化に興味が湧きました。いつの日か外国に住んで、外国人の人を相手にする仕事をしたいと憧れるようになっていました。 たまたま日本語教師をしている大学のOBと話す機会があり、日本語教師という仕事を知りました。わたしは日本語学科ではなかったので、大学に通いながら民間の養成講座に通って資格を取りました。

②どうして今ここ(国内)で働くことを決めたんですか?

日本語教師養成講座で出会った先生からのご紹介で、日本語教師として働くことになりました。

③今どのようなことを教えていますか?

告示校で漢字圏・英語圏中心の初級留学クラスと、プライベートオンラインレッスンを週数本。 プライベートレッスンでは授業準備をしていても、レッスン相手が抱えている問題により「区役所へ提出する書類の書き方」や「インターネットオークションへの出品方法」などに突然テーマが代わるので面白いです。

④日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語教師として苦労したことは、学習する気が全くない学生に対しての指導です。出席率のためだけに学校に来て授業中は寝るというような学生もいます。 しかし、学生も来日した当初からそうだったわけではありません。私たちも授業料をもらってる限り、また、その教室にいる限り寝ているからと言って放置するわけにもいきません。 また、その学生を注意することで周りの学生の勉強する時間を奪ってしまうことにもなりかねません。そうなれば、周りの学生のモチベーションを下げる原因にもなります。 授業を中断せず、また教室の雰囲気を壊さずにその学生のモチベーションをあげることに苦労しました。 そうならないためには、日頃からの学生との信頼関係をきちんと築き上げていくことだと思います。授業の技術はもちろんのこと、学生一括りにせず学生個人としっかり向き合っていかなければならないことを痛感しました。

⑤「日本語教師をやってよかった!」と、どのような時に実感しますか?

日本語学校には、様々な国から、あらゆるバックグラウンドを持った学生がいます。当然、日本語習得にかかる時間も人によって様々です。一度ですぐ覚えられる人もいれば、なかなか覚えられない人もいます。 しかし、来日当初、日本語の習得に時間がかかっていた学生でも、2,3年経てば、最低でも日常会話レベルまで話せるようになっています。 卒業生が学校に会いに来てくれるのですが、彼らと久しぶりに話すたびに、日本語の成長に驚き、同時に嬉しい気持ちになります。学生の成長を肌で感じられるのも、日本語教師のやりがいの一つだと思います。

⑥今後どのような日本語教師になりたいですか?また、これからやってみたいことはありますか?

当初の目標であった、海外で日本語教師をしたいと思っています。コロナのために中断してしまいましたが、状況も元に戻りつつあるので、情報収集をしているところです。

<授業・参考>

⑦教案・授業作りで参考にしているウェブサイトは?

『にほんご教師ピック』
初級のイラスト集めによく使います。
『さんぽ』
初級のイラスト集めによく使います。
『日本語NET』
初級の教案だけでなく、JLPTの文法解説や例文がたくさん紹介されているので、とても便利なサイトです。場面提示や活動で悩んだ際に参考にしています。初任者で、教案作成に不慣れな方には大きな助けになるかと思いますが、ご自身の成長のためにも丸写しすることはオススメしません。

⑧教案・授業作りで参考にしている書籍は?

『くらべてわかる日本語表現文型辞典』 対象:全レベル
類似文型を比較し、どこが違うのか、同じような意味の文型でも例えば、文末の表現で意志表現が使用できるかどうかなどがあります。私たち日本人が当たり前にできているルールを外国語として説明するときに役に立ちます。

『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』 対象:初級
初級の文型がほとんどなので、主に助詞の使い方や、文型を導入するときに、その文型を調べるときに参考にしていました。また、学生の宿題などの非文を訂正する時に確認のためにもよく参考にしていました。

<就職活動>

⑨他の教育機関と比較・検討しましたか?

最初の学校は紹介をしていただいた一つ目の学校で就職が決まったので、特に比較はしていません。 そのあとは、日本語教師業界向けの人材サービスのようなサイトがあるので、そちらに登録して定期的に他校の採用情報を見たり学校見学も兼ねて面接を受けてみたりはしています。 比較するとしたら、通いやすさと、福利厚生は大切だと思います。 また、大体の日本語学校は新しく入ってくる教師への指導や研修を行う余裕などありません。 その中でも、研修の機会や何か自分たちで「知ろう・動こう」としている姿勢が見られる学校の方が、発展がある感じがして良いかと思いますね。

⑩日本語教師の求人について、どのようにお仕事を探しましたか?

たまたま420時間講座が終わるタイミングで、先生の知り合いの学校で求人があるというので、紹介してもらいました。 新学期の前に先生が辞めたばかりで急募の状態で、資格を持っていてすぐ働ける人という条件が合っていたので、すぐに仕事が決まりました。 次の学校も、ありがたいことに前に勤めていた学校の先生からのご紹介です。並行して自分でも情報は取りに行っている方だとは思いますが、今のところ知り合いの情報の方が一番参考になりますね。 業界が狭いので、横のつながりで動いていくというのは実際多いと思います。

⑪模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

2名の学生役(採用担当の先生)に対して、25分の授業を行いました。課題は、みんなの日本語のL20(ふつう体)の導入でした。模擬授業は留学コースの先生2名にみてもらいました。 授業の構成はこれまで行っていた授業を評価してもらうべきだと思ったので、いつも通りに作成しました。教案には予想される学生の発言も事細かに記入しました。 ただ、予想以上に学生役が少なく、計画していたよりも早く終わってしまったので、大人数のパターンと少人数のパターンで教案を作り分けておけばよかったと思いました。 また、こちらの学校の採用の際には、模擬授業の時間に対してかなり多くのフィードバックをいただけたので、もし落ちたとしても、自分のための勉強になったと思います。

⑫就職活動で参考にしたウェブサイトは?

『 日本語教師ジョブ』
国内の日本語教師求人サイト。担当の方が親身になって希望に沿った求人を探してくれます。
『 日本語教育学会』
国内・海外の大学の求人が掲載されています。

⑬日本語教師が国家資格化しますが、登録日本語教員の登録はする予定ですか?

オンラインやプライベートレッスンには影響はないとはいえ、今後も告示校で働く可能性はあるので登録する予定です。日本語教育能力検定試験は合格済みなので、どのように登録するのか調べている最中です。文科省の話が二転三転しているようなので、最新情報をなるべく逃さないようにしています。養成講座を併設している日本語学校は比較的情報を多く持っているので、養成講座の担当の方に話を聞いたり、無料講演会などで登録日本語教師になるための説明なども結構あるので、オンラインで聞きに行ったりもしています。

⑭日本で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

大学で日本語教師の資格などを取得し、絶対に日本語教師になりたい、という強い気持ちがあれば卒業後すぐに日本語教師として就職してもいいと思いますが、社会人経験を積むために、会社や他の業種で働くのもいいと思います。私は日本語教育業界でしか社会人経験をしていないのですが、学生時代に飲食やテレオペのアルバイトをしていてよかったと思っています。アルバイトが一般の会社員の方と一緒に働くタイプのものだったので、そこである程度経験が出来ました。新卒者向けの社会人研修は、日本語学校ではまず行ってくれないので……。タイミングがあればビジネスマナー講座のようなものにも行ってみたいと思っています。 結局、人間関係がものをいう世界ですので、社会人としての振る舞いがきちんと出来る方が良いに決まっていますからね。 ビジネス会話などでは実際に会社で働いた経験が役に立つと思いますし、学生に具体的なアドバイスもできると思います。また、ボランティアでも良いので、実際に外国人の方と接し、会話をしたり教えてみることはとても大切だと思います。国籍によって、話し方・発音の癖なども違いますし好きな話題なども、変わってくると思います。 給料が安いとか休みが少ないとか、色々なデメリットもありますが、一回力を付けてしまえば 考え方によっては生き方自体が自由になる職業だと思います。

画像の説明
国内の日本語学校勤務 非常勤講師 プライベートレッスン 
木口 亜矢子 
養成講座修了後、新宿区にある日本語学校で日本語教師デビュー。 現在は日本語学校で漢字圏・英語圏中心の初級留学クラスを担当。プライベートで、アメリカ・インドの方へオンラインレッスンも行う。 「楽しく参加できる授業」「分かりやすい授業」を目指しています!
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