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【現役日本語教師の正直インタビュー】教育は様々なジャンルとの掛け合わせが必要です

日本語教師養成講座 コラム

現役日本語教師にインタビュー!

①日本語教師を目指したきっかけはなんですか?日本語教師になるまでには、どのような経緯がありましたか?

英国への語学留学経験がきっかけで、日本語教育業界に足を踏み入れました。
一度メーカーに就職しましたが、「教育業界」への憧れが芽生え、日本語教師に転職しました。
決して順風満帆の語学留学生活ではなかったのですが、少しでも自分の経験、主に失敗を共有しながら、学習者をサポートしたいと思い日本語教師を始めました。
留学中の「やってしまったエピソード」は数多く…
プレースメントテストで大学の専門を聞かれ、自慢げに「Linguistics!」と答え、中上級クラスに入れられてしまい2週間で心が打ち砕ける。
会話・コミュニケーション能力を向上させたく、「ハブ(飲み屋)は第二の学校」と称して街に足を運び、朝のクラスに遅れて怒られる。
…といったように、今となれば学生に「ダメよ」と言いたくなるような留学生でした。
異国の学校のルール、またビザの条件など、「知らない」では済まされないことが理解できてなく、スタートダッシュが切れなかったという苦い経験をしてほしくない。
可能な限り学習者の「知らない」をなくして、損をしない留学生活を。そう思って数年日本語教師を続けています。

②どうして今ここ(国内)で働くことを決めたんですか?

「いつか海外で…」と思っているのも事実です。
ただやはり日本に来て、目をキラキラさせて楽しんでいる学習者の皆さんと一緒に学びたいと思い、国内を選びました。
皆さん日本語学習以外でも、生活面で様々な苦悩を抱えています。そんなときに頼れる存在でありたいと思っています。
女性の多い業界で、皆さん愛情をもって接していますので、優しく包み込むサポートはお任せしております。
他愛もない話ができる日本の兄ちゃん的な存在でいようと自身の立ち位置を目指しています。
学習者さんの目のキラキラを絶やさないように、こちらもキラキラ、ギラギラがんばります。

③今どのようなことを教えていますか?

現在は留学生(中級レベル)に教えています。
内容については文型、読解などを扱っています。
文型、読解と聞いてどんなことをイメージしますか? ご自身の経験から教え込まれるイメージかもしれません。
私も同様の経験があり、なんとかそのイメージを払拭できるように工夫しています。
学生が興味を持ちやすいトピック、生活の中で直面するであろう身近な場面を提示して、学習者さんと会話をしながら進めています。

④日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

一番の苦労していることは「日本語って難しい」です。
日本語話者だから日本語教師になれるとは思っていなかったのですが、予想以上に細かい使い分けなどがあることを知りました。
調べれば調べるほど奥深く、よく日本語を理解して使ってるなと自分をほめたくなることがあります。
母語話者だからこその苦悩ですが、それをどのような咀嚼をして学習者さんに落とし込んでいけばいいのか、それを考えるのは個人的に楽しい時間です。
最近では「元日本語学習者」である外国籍の先生も増えつつあります。
日本語を外国語として学んできた方と一緒に働くと新しい発見があり、たくさん学ばせてもらっています。

⑤「日本語教師をやってよかった!」と、どのような時に実感しますか?

学習者の皆さんが学んだことを「使えた!」「伝わった!」など報告してくれたときに感じます。
日本語教師に限らずかもしれませんが、外国人学習者の皆さんが日本語でサバイブしてくれたというのは感動ポイントです。
自分も伝わって嬉しかった経験があるので、嬉しさが共有できますし、ちょっとうらやましいくらいです。
学習において「わかった」というのはその場限りであることが多いです。
ただ実際の生活で思い出し、使って成功体験をするとしっかりと脳に焼き付きます。いい思い出になります。
そんな素敵な体験を報告してくれるのは教師冥利に尽きます。

⑥今後どのような日本語教師になりたいですか?また、これからやってみたいことはありますか?

今後も今までと変わらず学習者さんの気持ちを汲み取ってサポートできるようになりたいです。
そして今まで以上に楽しんでもらえるように、色々な仕掛けを作っていきたいと思っています。
近年ではICTにより、学習者さんとのコミュニケーションが高速化し、より効率的なフィードバックが期待されています。
デジタルネイティブ世代と対等に渡り合えるように、新しい情報を仕入れて、効果的な授業を作れるようにがんばります。

<授業・参考>

⑦教案・授業作りで参考にしているウェブサイトは?

授業づくりではニュースサイト、SNSなど、リアルな情報を拾える場所を参考にしています。
正しいかどうか問題になるものもありますが、そこも含めてリアルな情報を集めるようにしています。
高校生新聞オンライン は面白い記事があるので、授業だけでなく、学習者さんとの雑談ネタとしても参考にしています。

デジタル情報も大事ですが、普段の生活で「何か使えそうなものはないかな」と授業ネタを探しながら散歩しています。 スマホを見ずに電車に乗ったり、歩いたりすると、いいヒントに出会えますよ。前を見て歩きましょう。

⑧教案・授業作りで参考にしている書籍は?

やはり文型のチェックには 「日本語文型辞典」 を参考にしています。
50音順で探しやすく非常に重宝しております。どの学校さんにもあると思いますが、お手元にも一冊あるといいかと思います。

日本語の教科書全般ももちろんですが、どんな仕掛けができるかなと考えながら、様々な本にあたるようにしています。
最近では以下の書籍からヒントを得ました。
「仕掛学」
「NLPコミュニケーション」
「アナロジー思考」

教育は様々なジャンルとの掛け合わせが必要です。ぜひみなさんのお得意の分野でもヒントを探してみてください。

<就職活動>

⑨他の教育機関と比較・検討しましたか?

合同採用説明会に参加して様々な学校さんの話は聞かせていただきました。
それぞれの良さを聞いて、自分が新しいことにチャレンジできるかどうかを検討しました。

⑩日本語教師の求人について、どのようにお仕事を探しましたか?

ウェブサイト探し、説明会参加で確認するということをしました。
授業見学ができるかどうかも検討材料になりました。実際に学生さんの様子を見ることができるのはとても貴重ですし、参考になります。

⑪模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

初級の文型を行いました。初級のほうが教えるのが大変ですので、多くの学校さんがそのような形をとっているのではないでしょうか。
しっかりと教授法の根本を理解して、実行できるところを見られていた気がします。

⑫就職活動で参考にしたウェブサイトは?

「日本語教師ジョブ」 を一番多く見ました。
非常勤から専任まで絞り込みが可能です。また事務職まで確認できるので学校が求めている人材が垣間見えます。

⑬日本語教師が国家資格化しますが、登録日本語教員の登録はする予定ですか?

はい、登録の手続きを進めています。
幸いにも日本語教育能力検定試験に合格したので、書類提出等の手続き中です。
国家資格になれば責任も重くなりますので、さらに気を引き締めて学習者さんに向き合いたいと思います。

⑭日本で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

やっている姿を想像してワクワクしたらぜひ始めてみてください。
留学経験など、ご自身の経験があればなおさらです。ない方でも日本語の奥深さ、外国人とのコミュニケーションの奥深さに興味があればぜひ学んでみてください。
もちろん日本語が話せるから簡単というのは間違いで、勉強すべきことは日々あります。また教育に関しての知識も重要になります。
学習者さんの「学びたい!」という欲を最大限に叶える準備を進めてみましょう。
「学ぶ」が多い仕事ですので、楽しんでほしいです。

画像の説明
国内の日本語学校勤務 常勤講師
廣瀬駿介
メーカー営業を経て、日本語教師に転職。国内日本語学校で留学生進学、バックオフィス業務(ICT導入等)を担当。学習者とはどのように接し、どんな言葉を使えば頭の中のイメージが上手に共有できるのか、日々ワクワク・ドキドキしながら授業をしています。
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